私が勤務していたNICUでのエピソードには、印象深いものが沢山あるのですが…
この話は特に印象に残っているので、書いておきたいなと思います☆
ある日、少し早く小さめに生まれた赤ちゃんが入院しました👶
お腹の中にいた期間も30週(8か月)を超えていたので、健康状態も良く元気に泣きながら入院しました。
私の働いていたNICUでは入院時に全員の血液型を調べます💉
小さく生まれたり、何かしらの疾患を持って生まれた子が入院する場所なので、いつ輸血が必要になってもすぐに対応できるようにするためです。
その赤ちゃんは、血液検査の結果O型ということがわかりました。
親御さんの中にはお子さんの血液型が何型かを知りたいと思われる方が多く、
そのご両親が初めて面会にいらした時も赤ちゃんの血液型を聞かれました。
私がカルテを確認し、「O型ですよ」と
お伝えすると、
ご両親は少し沈黙した後に
「え!?」
という反応をされました。
そして、それまで赤ちゃんを見ながらお二人で嬉しそうに面会されていたのに、
急に黙り込み、何か考え込むような様子で帰っていかれたのです。
一体どうしたんだろう…と私もそのご両親の様子が気にかかりました🌨
翌日はお母さん1人で面会に来られました。
が、やはりなんだか元気がありません。
声をかけると、
「実は…昨日、この子の血液型のことで主人とケンカになって…。
主人はAB型で、私がO型なので、生まれてくる子はきっとA型かB型だね、って二人で話していたんですが、
でも、この子がO型って聞いて″それはおかしい!″って…。
″子どもは俺の子じゃないんじゃないか″って主人がすごい怒ってしまって…」
お母さんは今にも泣きだしそうな様子で、そう話してくださいました😢
聞くと、ご主人にだけでなく、その話を聞いたお義母さんにも浮気を疑われてしまい、昨日は2人に責められて本当に辛かった、と。
念のため、お父さんとお母さんの血液型のどちらかが間違ってる可能性はないですか?と聞くと、お二人ともきちんと調べたことがあるそうで、そこに間違いはないはず、とのことでした💦
私も内心″これは困ったぞ″と思いました。
これまでも赤ちゃんの血液型を親御さんに聞かれてお答えすることは何度もありましたが、
このようなパターンは初めてです(-_-;)
とにかく、この話を婦長とリーダー看護師に話しました。
2人とも「うーん…」と考えた後、リーダー看護師は言いました。
「とりあえず、お母さんともう一度話をしよう。ご両親がそんな状態のまま赤ちゃんが退院するのは良くないし、下手したら離婚する、なんてことになりかねないからね!」
そして、リーダー看護師は
「そういうことで、さこさん!
明日お母さんが面会に来たら、
本当に身に覚えがないかどうか
確認して!」
と私の顔を見てきっぱりと命じました。
「えぇぇーーーー!!!! !!( ; ロ)゚ ゚」
当時、新卒3年目だった私。
そんな若輩者の私に、本当に浮気をしてなかったのか、身に覚えがないかどうか、お母さんに聞いてこい、というのです💦
私はものすごく困ってしまい、
「婦長さん~💦」
と、婦長さんに助けを求めましたが、
婦長さんもニコニコしながら
「そうね、最初にお母さんのお話を聞い たのはさこさんだし、さこさんの方がお母さんも話しやすいかもしれないわね」
などと言うのです!
ええぇー!そんなぁ💦
内心、
″そんな大事な話は普通、婦長さんやベテラン看護師が聞くもんじゃないの!?″
と思いながらも、私は仕方なく引き受けることにしました(ーー;)
翌日、またお母さんが面会に来られました。
やはり前日同様、元気がありません。
話しかけると、
「主人が口も聞いてくれなくて…」
と、とても悲しそうな様子です。
そんなお母さんのお話を聞いた後、私は意を決して聞きました。
「あの…お母さん、こんなことをお聞きするのは大変失礼だと思うのですが、大事なことなので聞かせてください。
本当に赤ちゃんのお父さんはご主人以外にいらっしゃらないんですよね?
その…他に身に覚えはないんですよね?」(どきどき💦)
するとお母さんは、即座に
「ないですないです!
絶対ないです!
本当にないんです!」
と言いながら、涙を流されました。
それを聞いて、
私も慌てて
「ですよね?ですよね?
ごめんなさい!失礼なことをお聞きして💦」
とすぐにお詫びしました。
そうして、そのことを婦長さんや他の看護師にも報告し、
さらにドクターにも伝えました。
ドクターは、
「そうか、うんうん。
あのね、何万分の1かの確率で両親の血液型の組み合わせから生まれるはずのない血液型が生まれることが実はあるんだよ。
だから、まずはその話をご両親にしよう。それで、ご両親の血液型をもう1度調べることと、赤ちゃんとお父さんの遺伝子検査をすることが出来るけれどどうしますか、と提案してみよう。」
と言いました。
そ、そうだったのかーΣ(゚Д゚)!!
お恥ずかしながら、若輩者だった当時の私は、生まれるはずのない血液型の子が生まれることがある、ということを知りませんでした。
そして、お母さんのご様子から考えて、とても嘘をついているようには思えなかったので、
「きっとそれだ!」と感じました☆
後日、ドクターからお父さんお母さんにお話をしました。
お父さんは最初少しムスっとしたような納得がいかないような表情をされながら話を聞いていましたが、ドクターの説明を聞き少し表情が柔らかくなったようでした✨
そして、どうしてもきちんと確かめたいから、ということで、
赤ちゃんとご自分の遺伝子検査を希望されました。
検査を受けられてすぐ、
赤ちゃんの健康および発達状態も良いということで退院が決まりました。
遺伝子検査の結果が出るまで3~4週間かかるということで、
検査結果が出る前に赤ちゃんは退院となりました。
退院の日、
ご両親はお2人揃って赤ちゃんをお迎えにきました。
お母さんの表情は少し明るくなっていましたし、
お父さんとも普通に会話されていたので、私も少しホッとしました(*^_^*)
そして、後日…
検査の結果、お父さんと赤ちゃんは親子である、ということがしっかり証明された、ということをドクターから聞きました✨
あーーーー
良かったぁーー😆✨
お母さんの気持ちを思うと、本当に良かった!と、とても嬉しかったのを覚えています✨
あの時のお母さんは、大変な出産を終えたばかりでなく赤ちゃんがNICUに入院することになり、それだけでも心配で十分に辛かったはずです。
そこにあのような血液型の件で、身に覚えのないことをご主人やお義母さんに疑われて、本当に途方にくれたと思います。
産後は特にホルモンバランスが乱れて、精神的にも不安定な時期なので、尚更です。
当時はあんな質問をお母さんにしなければならず、私自身が本当にどきどきしてしまって、お母さんの精神的なフォローまで全然出来ませんでした😢
本当にそれは今思い返しても、ごめんなさい💦という思いでいっぱいになります。
そんな、反省や後悔込みのこの思い出は、生まれるはずのない血液型の子が生まれることがある、という事実と共に、私の記憶の中にずっとこれからも色濃く残っていくだろうな、と思います🌸
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